大嫌いなアイツの彼女になりました。






 じーっと双葉ちゃんが出て行ったドアの方を見つめていると、望月相馬に声をかけられ、反射的に望月相馬を見た。


 望月相馬はバツが悪そうな顔を見せながらあたしに近づいて来る。



「う、ううん……」


「ったく、いつも勝手なんだよな」

 望月相馬は呆れたような笑顔を作る。

 あたしも苦笑いを返した。



「……それより、大丈夫かな?」


「ん?なにが?」


「双葉ちゃん……すごく泣いていたけど」


 あたしは再び双葉ちゃんが出て行ったドアの方を見た。




「あー、大丈夫大丈夫。どうせ拗ねてるだけだから」


「そうかな……」


 望月相馬は気にしてないようだけど、あたしは何か突っかかっている。



 確かに、双葉ちゃんはやり過ぎだと思う。

 あたしのこと、散々馬鹿にしたし。


 でも、双葉ちゃんはまだ中学生だ。

 もう少し優しく言ってあげても良かったと思う。


 きっと、双葉ちゃんは、お兄ちゃんのことが大好きで仕方がないだけだろうから。



「……あたし、見てくる」


「えっ!?いいよ、そんなことしなくても。純香ちゃんだって、双葉にムカついてるでしょ?」



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