大嫌いなアイツの彼女になりました。







 そして、明らかに不機嫌そうな瞳であたしを見つめる。




「……なんで、いるのよ」


「えっ?」


 双葉ちゃんは聞き取れないほど小さく、そして低い声でそう言うと、




「なんでいんのっ!!」


 今度は大声でそう叫んだ。

 そして、抱きしめていた枕を思いっきり投げてくる。



「え、わ、ちょっ」

 あたしはその枕をキャッチする。


 だけど、双葉ちゃんは次から次へと、近くにあったぬいぐるみやクッションをあたしに投げてくる。



「ちょっ、あぶなっ」


 その全てをキャッチすることなど不可能なので、あたしは頑張って避ける。


 いくら中学生だからと言って、ここまでする人は見たことがない。

 あたしは戸惑いつつ、双葉ちゃんの近くに柔らかいものがなくなるまで、避け続けた。





「うぅー………」


 双葉ちゃんは、あたしに投げつける物が無くなると、再び泣き出した。

 その顔は、あまりに悲しそうで。


 気付けば、あたしは双葉ちゃんの目の前まで来ていた。



「双葉ちゃん……」

 そして、そっと双葉ちゃんの頭を撫でた。



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