大嫌いなアイツの彼女になりました。






「……大丈夫?」


「ヒック……うん」


「そっか、良かった」


 あたしは、双葉ちゃんの頭に乗せていた手をゆっくり下ろした。



 双葉ちゃんは思っていたよりもすぐに泣き止んだ。

 昔は中々泣き止んでくれなかったけど、やっぱり成長しているんだなぁ。



 そう思っていたら、

「……ありがとね、純香ちゃん」

 双葉ちゃんは呟くように言った。



「えっ……?」

 突然の感謝の言葉にあたしは驚いて双葉ちゃんを見ると、双葉ちゃんは照れ臭そうに笑っていた。


 小さい頃にだって、「ありがとう」なんて言われたことがない。

 それに、再会して初めて名前を呼んでくれた。


 心が温かくなった。

 単純に、素直に、嬉しかった。




「……本当はね、あたし、覚えてる」

 座り直した双葉ちゃんは、そう話を切り出した。



「え?なにを?」


「純香ちゃんのこと……」


「っ………」


 思考が停止した気がした。


 あたしのことを、覚えてる……?

 それって、昔遊んだことも全部??



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