大嫌いなアイツの彼女になりました。






「……この前、ショッピングモールで会った時、一瞬で気付いた。けど、どうしたらいいか分かんなくて……つい、知らんぷりしちゃった。……ごめんね」


「……そう、だったんだ」



 驚いて、言葉が浮かんでこない。



「……純香ちゃんも何も言わなかったし、お兄ちゃんなんか覚えてもいないみたいだったし……何も言えずに、そのまま……」


「……ごめん、何も言わなくて。でも……あたしもちゃんと覚えてたよ」


「そっか、良かった。忘れられているのかと思っちゃったよ」


「ごめんね……」


「ううん、こちらこそ、色々意地悪しちゃったし……」



 覚えてくれていた。

 ほんの少ししか遊んだことなかったのに。




「けど、もしお兄ちゃんの彼女が純香ちゃんじゃなかったら、きっとここまで意地悪してなかったと思う」


「えっ!?酷い……」

 あたしはつい、本音を口にしていた。


 あたしじゃなかったら意地悪しなかったって、それはちょっと、いや結構酷いと思う。




「……だって、昔から純香ちゃんには敵わなかったんだもん。」

 しかも、その理由。


 意味が、

「意味が分からないんだけど……」


「……そのままの意味だよ。お兄ちゃん、昔から純香ちゃんに甘かったから。覚えてる?お兄ちゃんが好きだったジュース、純香ちゃんが全部溢したこと」


「……あ、あったね、そんなこと」



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