大嫌いなアイツの彼女になりました。





 双葉ちゃんはホッとした顔を見せて笑った後、ほんの少し照れ臭そうに、

「……けど、純香ちゃんのことは嫌いじゃなかったよ」

 と言った。



「えっ?」


「だって、いつも優しかったもん。どんな我が儘言ったって、どんな意地悪したって、いつもあたしを見放したり邪気にしたりしなかった。いつも笑ってくれていた。……嬉しかった。」


「双葉ちゃん……」


 双葉ちゃんが移っちゃったのかな?

 あたしまで、何だか照れ臭くなってきてしまった。




「あたしね、純香ちゃんのこと大好きだった。……ううん、今も大好き」


 双葉ちゃんはそう言ってへへっと笑った。




 あたしも、ずっと昔から思ってたことがある。



 あたしは、我が儘で気が強い双葉ちゃんのことが、苦手だった。


 けど、本当はどこか憎めない、真っ直ぐで純粋で愛らしい双葉ちゃんのこと……

 昔から、大好きだったんだ。



「……あたしも、双葉ちゃんのこと大好きだよ。……ずっと変わらず」


「……ありがとう」


 照れ臭くて、温かい空気が流れる。




「……けど、懐かしいな。」


「え?なにが?」


 あたしは双葉ちゃんの顔を覗き込む。



< 121 / 203 >

この作品をシェア

pagetop