大嫌いなアイツの彼女になりました。
山口さん達が動かなかっただけでしょ。
自分に魅力が無いからって、あたしに当たらないでほしい。
こんな陰でいじめるようなことしてる暇あったら、望月相馬にアピールすればいいじゃん。
ふいに、過去のことを思い出してしまった。
……望月相馬にいじめられたことをだ。
でも、今の方が感じが悪い。
だって、何人もの人が寄って集って一人の人をいじめるなんて……
望月相馬でも、しなかったのに。
そんなイライラしているあたしに刺さったのが、
「相馬くんが可哀相だよ」
あたしの中で、何かが崩れた。
山口さん達からしたら、ただの暴言に過ぎないのかもしれない。
けれどその言葉は、昔望月相馬に散々いじめられ、今アイツに復讐しようとしているあたしにとっては、重たい一言だった。
「………何も、知らないくせに」
「はっ?」
今まで無言を貫いてきたけれど、もう我慢できなくなったあたしが呟いた言葉に、山口さんが反応を返す。
「何も知らないくせに、好き勝手言わないでよっ!」
気付けば、そう叫んでいた。
あたしが静かなキャラだとでも思っていたのだろうか。
五人全員が、驚いたように口を閉ざした。