大嫌いなアイツの彼女になりました。
望月相馬はそう言うとあたしの手を掴む。
「え?どこに……って、ちょっ!」
そして、強引にあたしを教室の外へと連れ出した。
教室から響く女子の黄色い叫び声も、すぐに聴こえなくなった。
「……それにしても、同じ学校だなんて思わなかったな」
望月相馬があたしの手を離してくれたのは、下駄箱に着いた時。
どうやら、あたしを連れ出したのは、一緒に帰ろうという意味だったらしい。
そして今、あたしは少し前を歩く望月相馬をじっと見つめながらゆっくりと歩いている。
望月相馬はあたしを送る気らしく、あたしの家に向かって歩いている。
もちろんそのことにすぐ気付いたけど、あたしはあえて話題にすることはしなかった。
「俺も驚いたよ。なんで今まで気付かなかったんだろう、俺。学校中の可愛い子は全員知ってるはずなのに……俺もまだまだだなっ」
望月相馬は、ははっと軽く笑った。
まだまだ……って、どこ目指してるのよ、コイツは。
でも、あたしもどうして気付かなかったのかすごい不思議。
久しぶりの再会でもすぐ気付いたくらい望月相馬のことを覚えているはずなのに、今の今まで同じ学校に通っていることに気付かなかったなんて。