ショータロー☆コンプレックス
そして警察官の方は「警察学校の一日」とかいうドキュメント番組を見た時に、当然の事なんだろうけどそのあまりの規律の厳しさに画面のこちら側に居てもビビってしまい『オレには到底無理だ』と速攻自覚し、これまた断念した。


でも、だからこそ、ますます尊敬の念や憧れが募った職業なんだけれども。


目の前の男は、オレが果たせなかった夢を、現実にした男。


いや、コイツが探偵に憧れていたかどうかは知らないけど、少なくとも今、充実した毎日を過ごしているという雰囲気が体全体から滲み出ていて、きっとやりがいを持って職務にあたっているんだろうな、と想像できた。


つまりコイツにとっては天職だったという事だ。


一体どうやってその仕事に就く事ができたんだろうか?


追求したい衝動にかられたけれど、当然今は口を挟めるような状況ではなかった。


「そんで、今追跡してるあの車の運転手は、ある案件の調査対象者なんだよ」


オレがそんな事を考えている間にも、辻谷はどんどん話を進めていく。


「もしかしたら、結婚詐欺師かもしれない男なんだ」


「……えっ。サギ!?」


あれこれ考えていたのでまたもや反応が遅れたけれど、その物騒な単語にびっくり仰天しつつ聞き返した。
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