ショータロー☆コンプレックス
「はぁ…」
「『婚活』ってくらいだから、Aさんは当然結婚を前提に付き合う相手を探す為にパーティーに参加したし、男の方も言わずもがなで同じ考えだと思っていた。実際、色々な会話をする中で『子どもは二人くらい欲しい』だの『ゆくゆくは、都内を離れて緑が多い土地に移り住みたい』なんて事を言っていたらしい」
「なるほど…」
よそ様の結婚話なんて正直全く興味がなく、かといって無反応というのも何なのでとりあえずそう相づちを打った。
「その男は自称薬剤師で、どの土地に行っても働き口はあるし、女性は元々地方出身者なので都会の喧騒には辟易していたようで、そういった考えには全く抵抗がなかったらしい。むしろ、フィーリングの合う相手に巡り会えて良かったと、自分の幸運に感謝していたんだな。でも…」
一旦言葉を切ったあと、辻谷は憎々しげな口調で続けた。
「それがその男の手だったんだよ。相手の性格を見極めて、どういう事を言えば、どういった行動を取れば好印象を与える事ができるかってのを、計算しながら動いていたってワケだ。全く、ふざけた野郎だぜ」
「でも…。それだけでは詐欺師とは言えませんよね?」
その時は本当にそう思っていたのかもしれないし。
結婚を前提に付き合っていても、性格の不一致とか諸々の事情で別れるカップルなんてのは世の中にはゴマンといる。
「『婚活』ってくらいだから、Aさんは当然結婚を前提に付き合う相手を探す為にパーティーに参加したし、男の方も言わずもがなで同じ考えだと思っていた。実際、色々な会話をする中で『子どもは二人くらい欲しい』だの『ゆくゆくは、都内を離れて緑が多い土地に移り住みたい』なんて事を言っていたらしい」
「なるほど…」
よそ様の結婚話なんて正直全く興味がなく、かといって無反応というのも何なのでとりあえずそう相づちを打った。
「その男は自称薬剤師で、どの土地に行っても働き口はあるし、女性は元々地方出身者なので都会の喧騒には辟易していたようで、そういった考えには全く抵抗がなかったらしい。むしろ、フィーリングの合う相手に巡り会えて良かったと、自分の幸運に感謝していたんだな。でも…」
一旦言葉を切ったあと、辻谷は憎々しげな口調で続けた。
「それがその男の手だったんだよ。相手の性格を見極めて、どういう事を言えば、どういった行動を取れば好印象を与える事ができるかってのを、計算しながら動いていたってワケだ。全く、ふざけた野郎だぜ」
「でも…。それだけでは詐欺師とは言えませんよね?」
その時は本当にそう思っていたのかもしれないし。
結婚を前提に付き合っていても、性格の不一致とか諸々の事情で別れるカップルなんてのは世の中にはゴマンといる。