ショータロー☆コンプレックス
そして色々とグレードはあれど、外車というだけでそれなりに値の張る代物の筈。


それなのに、デート代は常に彼女持ち?


何か、話を聞いて行くうちに、確かに段々うさん臭い奴に思えて来た。


「な?おかしいと思うだろ?ただ、男からは『他を切り詰めているからこそ、車だけは贅沢したかった。月々無理なく返せるローンを組んでいるから大丈夫』と説明されていたらしいけどな。『勤務先は大学病院で、周りの医者は皆高級外車を乗り回しているから、せめてゴルフクラスくらいは乗っていないと肩身が狭い』と」


「それでAさんは納得しちゃったんだ…」


「ああ。奨学金の返済はやむを得ない事だし、車を買う時にローンを組むのなんて当たり前の話だからな。しかもきちんとした職に就いていて返済できる目処はついているし、大した問題ではないと思ったらしい。そもそも、その時は男に絶大なる信頼を寄せている時期だったから、疑う余地もなかっただろうし」


それで少しでも男の助けになりたいと、色々と金品を貢いでしまったというワケか。


何だか切ないな…。


「だけどそんな生活を続けていくうちに、さすがにAさんも段々おかしいと思い始めたらしい。いつまで経っても結婚の話が具体化していかないし、Aさんがさりげなくその話題を持ち出してものらりくらりとはぐらかしたりして」


「ああ…。もうそれは、すこぶる怪しすぎますよね」
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