ショータロー☆コンプレックス
「正解。男いわく、手術もその後の治療にも莫大な費用がかかる病気らしくて『母も自分も一応貯えはあるけれど、それだけでは心許ない。いくらか都合してくれると助かる』という事らしい」
「ちなみに、どれくらいの額を提示して来たんですか?」
「とりあえずは50万円」
「う~ん…」
何か、結婚詐欺師がぶん盗る金額にしては少ないような気はするけど、一般のOLさんでも無理すれば払えなくはなさそうな金額ってのがかえってリアルかも。
それに、まずはそれで様子を見て、その後も言葉巧みに金を引き出す算段だったのかもしれないし。
「いずれ保険金が降りたら必ず返すから、ひとまず貸しておいて欲しいと言われたらしい」
「そこでAさんは『これは怪しいぞ』と思ったワケですね!」
「いや……。後から考えてみればとんでもなく怪し過ぎだけど、まだその段階では男の事を信じていて、そういう事情ならばと金を用意する約束をしたらしい」
辻谷にしては歯切れの悪い口調で続けた。
「自分が断ったら他所で借金を作る事になって、それでなくても奨学金や車のローンがあるのにそれは気の毒だろうと。自分なら、無利子無期限で貸してやれるし、将来結婚するなら別に返してくれなくても良いか、という思いもあったらしい」
「えー。何か、そのAさんも、ちょっと人が良すぎませんか?」
「ちなみに、どれくらいの額を提示して来たんですか?」
「とりあえずは50万円」
「う~ん…」
何か、結婚詐欺師がぶん盗る金額にしては少ないような気はするけど、一般のOLさんでも無理すれば払えなくはなさそうな金額ってのがかえってリアルかも。
それに、まずはそれで様子を見て、その後も言葉巧みに金を引き出す算段だったのかもしれないし。
「いずれ保険金が降りたら必ず返すから、ひとまず貸しておいて欲しいと言われたらしい」
「そこでAさんは『これは怪しいぞ』と思ったワケですね!」
「いや……。後から考えてみればとんでもなく怪し過ぎだけど、まだその段階では男の事を信じていて、そういう事情ならばと金を用意する約束をしたらしい」
辻谷にしては歯切れの悪い口調で続けた。
「自分が断ったら他所で借金を作る事になって、それでなくても奨学金や車のローンがあるのにそれは気の毒だろうと。自分なら、無利子無期限で貸してやれるし、将来結婚するなら別に返してくれなくても良いか、という思いもあったらしい」
「えー。何か、そのAさんも、ちょっと人が良すぎませんか?」