ショータロー☆コンプレックス
思わず口を突いて出た批判的な言葉に、オレは自分自身驚いた。


詐欺なんて、絶対に許してはいけない行為だ。


人の優しさや弱味につけこんだ、卑劣な犯罪なのだから。


だから「騙される方にも責任はある」というような言い方は、オレは今までは大嫌いだった。


騙す方が完全に、100%悪いに決まっているじゃないかと。


だけど話を聞いて行くうちに段々とAさんに肩入れしてしまって、だからこそ何か悔しいというか残念というか、色んな感情が交差して、ついついその言葉を吐き出してしまったのだ。


会った事のない、他人のオレでさえそうなんだから、もっと親い人物がこの話を聞いたら、どれだけ心を痛める事か。


Aさんがこの事実を探偵以外に打ち明けたかどうかは現時点では定かではないけど。


優しい人、他人への思いやりがある人というのはとても素晴らしいとは思うけれど、大切な人達を心配させないために、悲しませないために、やっぱり自分の身を守る強さも身に付けていなくてはいけないと思う。


暴力や脅迫で追い詰められたというのなら話は別だけど、そういうシチュエーションではなかったのだし。


それまでに考える時間はたくさんあったハズ。


もう子どもではなく、結婚を考えるくらいの年齢なのだから、その時点で異変に気付いても良かったのではなかろうか。
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