ショータロー☆コンプレックス
「えっ。女性の探偵さんもいるんですか!?」


辻谷が何気なく放ったその言葉に、オレは思わず食い付いてしまった。


「あ?ああ…。別に、不思議な事じゃないだろ?」


「いや、でも、女性にはちょっとハードな仕事なんじゃないかなと勝手に思ってて」


「それ言ったら女性警官とか自衛官はどうなるんだよ。案件によってはむしろ、女性が担当した方が適任の場合もあるんだぜ。てか、ウチはそもそも所長が女性だし。しかも、めったにお目にかかれないような美人」


「うわ~」


良いな~…。


何だか、すごく楽しそうな職場…。


オレは勤めるとこ勤めるとこ野郎の吹き溜まりばかりだったから。


「って、そんな事はどうでも良いんだよ。とにかくそいつらの活躍で、スムーズに男にたどり着く事ができた」


もうちょっと内部事情を聞き出したい気持ちもあったけれど、本筋の方ももちろん気になるので、とりあえずそれ以上突っ込むのは止めた。


「案の定というべきか、男がAさんに話していた経歴はすべて真っ赤な嘘だった。名前ももちろん偽名。高校卒業後、進学はせず、かといって就職もせずに、時たま小遣い稼ぎに単発のアルバイトをしながら、静岡の実家で自由気ままな生活を送っていたようだ」


そこで辻谷は自嘲気味にふ…、とため息混じりの笑いを漏らした。
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