ショータロー☆コンプレックス
「さっきお前自身が言ったように、どんなに良心的な価格設定にしたとしても、調査費用ってのはそれなりにかかってしまうものなんだから。そして探偵業はボランティアじゃない。報酬をもらえるかどうか定かではないのに、無駄に動き回る訳にはいかない。……と、いうのがウチの所長の考えだ」


そう理路整然と説明されてしまっては、反論の余地はない。


所長さんはあくまでもビジネスとして調査会社を立ち上げたんだろうから。


それに、依頼ってのは一つ一つタイミング良く舞い込んで来るものではないだろうし。


当然、同時進行でいくつかの案件を抱える事になり、スタッフ間で手分けして業務にあたるハズ。


情にほだされてタダ働きをしている間に他の調査が疎かになって、しかも重要な証拠を逃してしまったりしては本末転倒だし、事務所の存続に関わるもんな。


ある程度の所で見切りをつけるのは正しい判断なんだろう。


だがしかし。


「こうしている間にも、もしかしたら男は新たなターゲットを物色してるかもしれないんですよね?そう思うと何だか……」


「いや。物色どころか、すでにそれらしい女性と接触している」


「え!」


「すでに奴の現住所は掴んでるから。何日か尾行もした。そんで、その区域の図書館に、やけに足しげく通うなと思っていたら、この前司書の女性にさりげなく話しかけてやがった」
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