ショータロー☆コンプレックス
「限りなく黒には近いけれど、それでも、現時点でははっきりと断定する事はできない」


「な、何でそんな中途半端なままでストップしちゃうんですか!?」


オレは思わず抗議の声を上げてしまった。


「何でって……。これ以上調査を続けたら、Aさんから提示された予算をオーバーしちまうからだよ。何せ、静岡まで出張する羽目になったからな」


しかし辻谷はオレとは温度差ありまくりの、冷静な声音で言葉を繋いだ。


「調査を依頼する際、「いくらかかっても良いから思う存分調べて欲しい」なんて太っ腹な事を言うクライアントはまずいない。必要最低限の予算で、効率的に、知りたい情報を掴んで欲しいと望むものだ」


「そりゃそうでしょうけど……」


「だから事前にきちんとした打ち合わせをするんだ。それで双方納得できた所で、ようやく調査開始となる。Aさんにも、まず初めに無理なく出せる金額を提示してもらっていて、その金額に達してしまった場合はそれまでに調べた事柄を報告し、引き続き調査するかどうか判断してもらうという決まりになっている」


「いやいや、調べて欲しいに決まってるじゃないですか!そんな消化不良な状態で調査を打ち切られたりしたら気持ち悪いですもん」


「だからって、それをこっちが勝手に判断する訳にはいかないだろ?」


辻谷は小さい子に噛んで含めるような口調で続けた。
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