ショータロー☆コンプレックス
この男だってきっと、オレみたいなタイプは見ていてイライラしてしまってダメだろう。
「そういやお前、なんていうの?」
駅へと繋がる通りに出る為に、ドキマギしながら右折するタイミングを見計らっていたオレに、男は呑気に問いかけて来た。
「……えっ?」
「名前。一応聞いておこうかと思ってさ」
「ああ…。鉄正太郎っていいます」
「へ?くろがね、しょうたろう!?」
対向車線の車の流れが気になって、ちょっとつっけんどんに答えてしまったから、またもやキレられるかと思いきや、意外にも男は上機嫌に言葉を繋いだ。
「すげー渋くてカッコいい名前じゃん。ヒーロー物の主人公みたいだな」
「え。そ、そうですか?」
その返しに、正直大いに戸惑った。
オレは今年30才で、そしておそらくこの男も同年代。
オレ達世代で名前に「太郎」がつく奴っていうのは結構珍しく、というかぶっちゃけ『古いダサいありえない』と小さい時は散々バカにされたものだ。
まぁ、大きくなるにつれて人の名前を笑うような下品な振る舞いをする奴は徐々に減っては来たけども、それでもたいてい自己紹介の際には一瞬変な間が訪れ、微妙な空気が漂う。
それは決して被害妄想によるものではないハズ。
でも、まさかこの男に、こんなお世辞感皆無のお誉めの言葉をいただけるなんて。
「そういやお前、なんていうの?」
駅へと繋がる通りに出る為に、ドキマギしながら右折するタイミングを見計らっていたオレに、男は呑気に問いかけて来た。
「……えっ?」
「名前。一応聞いておこうかと思ってさ」
「ああ…。鉄正太郎っていいます」
「へ?くろがね、しょうたろう!?」
対向車線の車の流れが気になって、ちょっとつっけんどんに答えてしまったから、またもやキレられるかと思いきや、意外にも男は上機嫌に言葉を繋いだ。
「すげー渋くてカッコいい名前じゃん。ヒーロー物の主人公みたいだな」
「え。そ、そうですか?」
その返しに、正直大いに戸惑った。
オレは今年30才で、そしておそらくこの男も同年代。
オレ達世代で名前に「太郎」がつく奴っていうのは結構珍しく、というかぶっちゃけ『古いダサいありえない』と小さい時は散々バカにされたものだ。
まぁ、大きくなるにつれて人の名前を笑うような下品な振る舞いをする奴は徐々に減っては来たけども、それでもたいてい自己紹介の際には一瞬変な間が訪れ、微妙な空気が漂う。
それは決して被害妄想によるものではないハズ。
でも、まさかこの男に、こんなお世辞感皆無のお誉めの言葉をいただけるなんて。