僕と、君と、鉄屑と。
「気に入らないのか?」
ベッドの中で、直輝が心配そうに、僕の目を覗いた。
「別に」
「お前のテストに合格したじゃないか」
そう。あれは、僕が作成した、テスト。一言一句、僕の書いた、シナリオ。
「……髪型がかわって、随分、マシになったよ、彼女」
「そうか」
「会いたい?」
直輝は、答えなかった。その代わりに、優しいキスをくれた。
「祐輔、だけだよ」
僕は、その彼の言葉を、信じることにした。そうだよね、僕達には、女なんて、存在しないよね。あんな薄汚れた女、ただの、飾りだよね。
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