名も無き草花


哀しみで涙が止まらない。
体力も気力も尽きてきた。
だが、たとえそれでも走らなければ。
死にたくない、シンプルで明確な理由だった。

今は、こいつと一緒に逃げなければ。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ。」

この通りを抜ければ村の出口になる。
だが、そこには村を殺した[奴ら]がいた。

「おい!隠れるぞ…」

咄嗟に身を潜める。

疲れた脚を休ませ、別の逃げ道を考える。そこでふと、疑問が浮かぶ。

[奴ら]は軍を成して、俺たちを殺しにきた。
そもそも、なぜこんな小さな村を?

だが、謎を明かすためにもまずは逃げなくては…。
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