今宵、月が愛でる物語
会いたい。


ただただ、会いたい。


生涯でたったひとり、


愛すと決めたのに。


その手を離した今、


浮かぶのは泣き顔ばかり。



『どうして出会ったの』



『どうしてダメなの』



『愛してるのに』



『祐だけなのに』



今でもその言葉たちが、


日常の中で突然俺を襲うんだ。


もう一度だけ、


もう一度だけ、


神様、もう一度だけでいい。


風華をこの手に抱けたなら。


全てを受け入れて、


諦めてもいい。



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