今宵、月が愛でる物語
同い年でずっと一緒に育ってきた奏一は、なぜかいつも私がどこで泣いているのが分かってしまう。

『なんでそういちは、みふみがないてるとわかっちゃうの?』

『それは…ないしょだよ。』

それは小学2年、駿ちゃんが家から彼女と手を繋いで出てくるのを見てショックで走り去ってしまった時のことだ。

一キロ以上離れた川べりでひとり泣いていたら、今日みたいにポケットティッシュを持って迎えに来た。

友だちと喧嘩をした時も、

両親と口論になった時も、

もちろん、駿ちゃんに振られた時も。

いつも黙って私を見つけて、一緒に帰ってくれた。



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