今宵、月が愛でる物語
「帰ろっか。いくら月がいつもより明るくてもこんなとこに女がいつまでもひとりで居たら不用心。

……まだ泣きたいなら一緒にいるけど。」

「…………」

何も言わない私の膝にポケットティッシュをポンと乗せて、ひとり分の間を空けてベンチに座る奏一。


そう。奏一は絶対、私に触れない。


隣に座らない。


手を繋がない。


触れてしまう距離には絶対来ない。


それはまるで私たちの間にある暗黙のルールのようだった。



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