インフィニティ(仮)
弥生の口から流れ出た血の痕跡をたどると男の靴先にたどり着いた。

先には血がベットリ…付いている。


「聞いてんのかコラ。」

腹に一発。


さらに一発…


とがったブーツの蹴りが鳩尾に容赦なく入れられた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」


呪文のように繰り返し同じ言葉をしゃべり続ける弥生に僕は何もできなかった。

ただ…目の前で行われている現実が恐怖だった。


足が…震えて止まらない。


逃げ出す事も…


立ち向かうこともなくただ見ているだけ。


日常的にこういう事が行われているのは知っていた。

ただ…聞くのと実際に見るのでは全然違う。


その日はグッタリして動かなくなった弥生の右手を掴み、引きずるようにして男は去っていった。


夢ならいいのに…。



そう思っていた。けど次の日、弥生は何事もなかったように何時もの公園にいた。

男は弥生の顔には傷をつけない。

だからパット見は怪我をしているかわからない。



それを見て、ああ…やっぱり夢だったんだって思い込むようになった。

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