インフィニティ(仮)
穴が見えないように葉っぱをかぶして上に薄く砂もかける。

5歳の僕には上出来だ。


「なんにもないよ?」


弥生は僕の作った落とし穴にゆっくりと近づいてくる。


「止まって!」


右手を弥生の顔の前に出して静止させる。

「え?なに?」


「この下に落とし穴つくった!」


二人で下を覗き込む。



「すっごぉぉいっ!」


ちょうど二人で落とし穴を見ていたときだった。不意に二人の頭上から影が現れた。



同時に上を見ると誰か人がいた。


太陽光がちらついて誰かは判断できない。


「帰るぞコラ。」


人影はドスの利いた低い声でしゃべった。

弥生は何だか怯えている。少し後ずさり嫌がっているようにも見えた。


それを追うように人影は前に出る。


「あ。」


男は落とし穴にはまり、バランスを崩した。

抜いた時に飛び出した砂が僕の目にかかり視力がうばれる。


ごしごしと一生懸命に目を擦る。ようやく視界が戻ろうとしたとき…





弥生は口から大量の血を流していた。


「…ガキがふざけてんじゃねぇ」

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