幼なじみ
心よりも
頭よりも
体が一番に動いた


凪沙の手を

温かい手をぎゅっ…と握った


「乃愛を忘れるために他の女の子と付き合っても…
消えてくれないんだよ。

乃愛の隣にいた17年間が
何度も
何度も
俺に訴えてた。

乃愛が好きだ……って。」


凪沙……


悲し涙がゆっくり温かいものに変わる


ベランダの柵が邪魔だった
凪沙の胸に飛び込んだ


そのまま倒れ込む私たち


私よりも小さかった凪沙がしっかりと
私を抱き締めて守っていた


「…ったく。
危ないな。」


凪沙の体温
匂い

想い


全てを全身で感じる


何度夢に見ただろう

この瞬間



ずっと
この瞬間を求めていたんだ


「乃愛…生まれたときから
乃愛が好きだ。」


優しいキスが降ってきた


泣きつかれた私の心に
色を戻す


凪沙
世界中の誰よりも凪沙が好きだよ…


うまく言えないから


今は
ただ…抱き締めさせて


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