幼なじみ
「田中…。」


田中の顔がクシャッと笑った


「お前…ひっどい顔だな。」


言われて
ハッと顔を隠す


「ウッサイ…。
田中に言われたくないし。」


強がった憎まれ口も覇気がない


「はいはい。
つうか、腹減ってね?飯食いに行こうぜ。」


そう言って
私の前を歩き出す


少し濡れた学ランの背中が私を雨の呪縛から解き放つ


田中がいてくれてよかった


ふと
背中を見つめて思った


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