君がくれた約束[続編]

土曜日迄、私は落ち着かない。


仕事をしていても、家にいても、ドキドキしたりモヤモヤしたりで忙しい。


金曜日、洗い物をしている母親に言った。



「お母さん、明日東京に行って来るよ」


「そう」



母親は何か勘づいているみたいで、表情1つ変えないで、それ以上何も言わない。



「もしダメになったら…又、お見合いでもしようかな。楽しかったし」


「……」


「じゃあ、寝るね。おやすみ」



そう言って部屋に戻ろうとした私に母親は言った。



「頑張りなさい」


「…うん!」



―土曜日


東京に向かう新幹線の中、気持ちが重くなる。


もしこのままシュウに会わなければ、少しでも長くシュウの彼女でいられる?



新幹線の窓の外を見ると、雨が降っていた。


停車駅の度、少し雨に濡れた人達が入って来る。


その雨の匂いと傘から流れる滴が、気持ちを落ち着かせてくれた。


最後になってしまうかも知れないこの景色は、いつもと違う事ばかりで、きっと何年経っても思い出してしまうだろう。


完全に別れモードになってしまっている私は、ため息を漏らし、同時に東京駅に着いた。


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