この恋を叶えてはいけない
「自分で思っていた以上に、元彼のことで結構へこんでててさ。
だから駿があの時泣かせてくれて、本当によかったよ。
ありがと」
改めて思う。
駿がしてくれたこと。
もしあの時、駿に出逢ってなかったら、あたしは今でも引きずってた。
いや、そうしたら貴志とやり直していたのかもしれない。
そしてまた、同じことを繰り返されたりとかして……。
「あれは俺のため」
「え?」
駿から返ってきた返事は、予想外のもの。
あたしは言葉の意図をくみ取るため、駿の顔を見上げた。
「俺がお前と恋したかったから。
過去に引きずってねぇで、俺を見ろって思った。
だから、だよ」
少し照れくさそうに、微笑む駿。
まるで今初めて、告白されたみたいに顔が熱くなった。
じゃあ駿は、
出逢ったあの瞬間から、あたしを好きだって思ってくれてたってこと……?
「唯香。ちょっとついてきて」
「え?」
駿はあたしの手を引いて、どこかへと連れて歩き出した。