この恋を叶えてはいけない
「べ、つに……
泣く必要なんてないし」
泣こうなんて思わない。
あんな男のために、泣く意味なんかない。
湧き上がるのは怒りだけで
悲しみも何もないんだから。
だからこのまま、怒りとともにこの指輪を海へ投げ捨ててしまえばいい。
「な、何……?」
何を思ったのか、無表情のまま彼はあたしへと近づく。
警戒しながら見つめるあたしをよそに、彼はあたしの手首を掴んだ。
そして……
「ちょ……」
「泣けよ」
自分の胸の中へおさめ、心臓まで響き渡るような低音で囁いた。