この恋を叶えてはいけない
「……っ…」
じんわりと、熱い涙がこみ上げてくる。
振り返れば、貴志との思い出は楽しいことばかりで
喧嘩らしい喧嘩だって、あまりしてこなかった。
楽しくて…
幸せで…
この先もずっと、一緒にいられるものだと思ってた。
なのに……
「ぅっ………ふぇっ……っ」
「……」
嗚咽交じりの涙になるとともに、あたしを抱きしめていた彼の腕が頭にまわった。
優しく撫でる大きな右手。
そっと包み込むように抱きしめる左手。
人の温もりを感じているせいか
一度こみ上げてきた涙はとどまることを知らなかった。
「ば…かっ………貴志のバカやろっ………」
絶対に泣くことはないと思っていたこの恋に
あたしは子供のように泣きじゃくった。