この恋を叶えてはいけない
「上がって」
「……はい」
必要最低限の荷物を持って、あたしは戸村さんの家へ来た。
戸村さんの家は、あたしが住んでいるアパートよりもずっといいところだった。
オートロックのマンションに
カウンター式キッチン。
リビングと寝室が分かれた部屋。
管理人もいるし、マンション内も掃除が行き届いている。
これが出世クラスの人の家か……。
なんて感心してしまった。
「部屋、余ってる言うたけど……
寝室を好きに使って、ってことやから」
「え、でも……」
「俺はこっちのソファーでええねん。
ってか、いつもほとんどこっちで寝とるから、慣れてるし」
そう言って指差すソファーは、そこで寝たとしても十分快適に眠れそうなほど大きくてふかふかで……。
ちょっとあたしも、そこで寝てみたいかも……。
なんてすら思った。