この恋を叶えてはいけない
「あーよしよし……」
「こわ……かったっ……怖かったっ……」
「せやな……。怖かったな……」
小さい子が、親に泣きつくように、
あたしは戸村さんに必死にしがみつき、泣きじゃくった。
そんなあたしを、戸村さんは優しくなだめるように頭を撫でてくれて、
その手がどうしようもないほど安心した。
「……ったく…
なんで帰るとき、一言言っておかないねん。
気づいたら、唯ちゃんがおらへんから、慌てて帰ったやないか」
「え……」
「昨日の今日で、ストーカーが消えるわけないやろ。
家決まるまで、どうにかして俺がついてようと思っとったのに」
「そう、なんですか……」
「当たり前や」
耳元で聞こえる、少し怒った声。
確かに、ストーカーはこれからも現れるだろうとは思っていたけど、
さすがに家が決まるまでずっと戸村さんに甘えるわけにはいかないと思っていた。
それでも……
「唯ちゃん。
家決まるまででもええから……。
俺んちに来ぃや」
その言葉に、
あたしはもう、頷くしかなかった。