この恋を叶えてはいけない
 
「あの……
 確かにあたしは……昨日言った通り、忘れられない人が…います……。
 絶対に叶わない、叶えてはいけない相手の……。


 でもそれはそれで……

 あたし、戸村さんのこと、ちゃんと好きです」


どうやったら、今のあたしの気持ちをうまく伝えられるだろう……。


確かに駿のことが好きで、
多分この先もずっと忘れることは出来ないかもしれない。


それでも今、目の前の人のことも好きと思うのは、あたしは最低なのだろうか……。



「忘れさせてくれる相手が、誰でもいいわけじゃないです。

 あたしは戸村さんだから……抱いてほしいって思った。
 あたしの中で、あなたを好きという気持ちがあったから……」



3年前……
駿を好きでいることを忘れようとするため、貴志に抱かれようと思った日もあった。

あの時あたしは、史上最低の女で……

貴志に抱かれながら、
目を閉じて駿を想っていた。


だけど昨日は違う。


目を開け、あたしを欲してくれる戸村さんが
心から愛おしいと思った。


この気持ちに、嘘はないから……。
 
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