この恋を叶えてはいけない
「いってー……」
「って、あんたがっ……」
顔を上げて少し驚く。
倒れ方は、尻餅をつく彼に、あたしがまたがるように転んでいたから……。
至近距離で初めて見る彼の顔に、ドキッと胸が高鳴った。
カッコいいとか
そんな部類じゃなくて。
確かにカッコいいけど
それだけじゃなくて。
よく分からない胸の高鳴りが、あたしを襲う。
「……」
さっきまでちゃらけていた彼も、いつのまにか真面目な顔になっていて
目を逸らそうと思っても、その漆黒の瞳から抜け出せない。
こんなこと、おかしい……。
さっきまで、貴志のことで泣き続けたあたしが感じる感情じゃない。
それなのに、
高鳴る胸の鼓動は留まることを知らなくて……
あたしたちは
引き寄せられるようにキスを交わした。