この恋を叶えてはいけない
 
「いってー……」
「って、あんたがっ……」


顔を上げて少し驚く。

倒れ方は、尻餅をつく彼に、あたしがまたがるように転んでいたから……。



至近距離で初めて見る彼の顔に、ドキッと胸が高鳴った。



カッコいいとか
そんな部類じゃなくて。

確かにカッコいいけど
それだけじゃなくて。


よく分からない胸の高鳴りが、あたしを襲う。



「……」



さっきまでちゃらけていた彼も、いつのまにか真面目な顔になっていて
目を逸らそうと思っても、その漆黒の瞳から抜け出せない。




こんなこと、おかしい……。

さっきまで、貴志のことで泣き続けたあたしが感じる感情じゃない。



それなのに、
高鳴る胸の鼓動は留まることを知らなくて……










あたしたちは

引き寄せられるようにキスを交わした。

 
< 27 / 326 >

この作品をシェア

pagetop