この恋を叶えてはいけない
「もー!せっかくこのワンピ、おにゅーなのに……」
「知るか。
どうせ、元彼のために買ったやつだろ?」
「……」
「そんなやつ、塩水に浸しちまえ」
「あ、こら!」
そんな言葉を言いながら、あたしたちは頭まで水浸し。
周りから見たら、
いい大人が夜の海でこんなことをして、
恥ずかしいやつって思うかもしれない。
だけどこの子供のようなはしゃぎっぷりが、今のあたしにはちょうどよくて
名前も知らない彼との時間が、少しずつ貴志への想いを浄化させていくような気がした。
「ってー……」
「え、どうしたの?」
急に目を抑える彼。
ちょっとだけ心配して、彼のもとへ駆け寄った。
「なーんてな」
「きゃあ!!」
だけどあたしの心配は無駄で、彼はあたしの手首を掴むと、再び海に投げ入れようとする。
あたしは咄嗟に、離されまいと彼の腕を掴み直した。
「おわっ……」
「…っ」
そのせいで、二人一緒に海の中へなだれ込んだ。