この恋を叶えてはいけない
 
「あ、これ、引っ越しのご挨拶です。
 今、帰ってきた気配がしたので、渡そうと思って出てきただけなので」

「ほんまですか?
 ご丁寧にどうもです」



思い出したかのように、駿は紙袋を陵に渡した。

引っ越しの挨拶を、妹が住んでいるところにするなんて変なの。

なんて少しだけ思う余裕も出来て……。

だけど……



「あ、唯!
 なんやったら、少しお兄さんと話でもしてきぃよ」

「え?」

「会うの久々なんやろ?
 大阪にいて、全然会うてないって言うてたやん」

「そう、だけど……。
 ほら、もう遅いしっ……」

「べつに兄貴なんやからええやろ。
 隣なんやから、何時に帰ってきてもええから」

「いや、でも……」

「ええからええから!
 兄妹水入らずで話してきぃ」



陵は強引に駿のもとへ押しやると、

「楽しんでなー」

と言って部屋に入ってしまった。
 
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