この恋を叶えてはいけない
 
「彼女も何も、
 もう何年もそんな奴、いねぇよ」

「え……?」



思わず、口をつけようと思っていた缶コーヒーから、口を外した。


「嘘……」

「嘘言ってどうすんだよ。

 ほんと。
 情けねぇ話、お前と終わってから誰とも付き合ってねぇよ」

「え……だって……」


それを聞いて、1年前のあの光景が思い出されていく。


大阪出張に行ったあの夜、
偶然出くわしてしまった、駿と女の人の姿。



「何?なんか疑ってんの?」

「……そういうわけじゃ……。
 でも……見たこと…あるから……」

「見た?何を?」

「1年前……
 あたし、大阪に出張に行ってるの。

 実はそこで、駿の姿を見て……」

「俺を?」

「うん……。
 それで……隣に女の人がいた……」

「……」



思い出すだけで、胸が痛くなるのは、
やっぱりまだ、あたしが駿を忘れていない証拠なのだろうか……。
 
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