この恋を叶えてはいけない
駿はあたしに言われた言葉の意味が分かっていないようで、首をかしげたままひたすら思い出そうとしている。
「1年前……?」
「うん…ちょっと高級な和食屋さんなんだけど……。
茶髪のロングヘアーの、すらりとした身長の人……。すごく綺麗な……」
「和食屋………。
………あ…」
そこまで言われて、ようやく何かを思い出したのか、駿は顔を上げた。
「それ、多分、取引先の社長の令嬢だよ」
「え……?」
「なんかその令嬢に気に入られて、食事だけでも行きたいって言われたから付き合っただけ。
でも、仕事でそういった媚とか売りたくなかったし、迫られたけど確かあのままタクシーで送り届けたっけ」
「……」
まさかの返答に、言葉を失った。
じゃあ、あたしがあの時見たのは、全部思い違いだったということ……?
勝手に彼女だと勘違いして……
傷ついて……泣いて……
「唯香?」
急に黙ってしまったあたしを、駿が覗き込んできた。