この恋を叶えてはいけない
見上げたそこには、切なそうな瞳の駿がいて、
視線がばちっと絡み合う。
その視線は、あたしにとって魔力をもっているようなもの。
ずっと見つめてはいけない。
じゃないと……
「唯香……」
「……」
その瞳に、吸い込まれてしまうから……。
「…っ」
その途端、襲ってきたのは
あたしを包み込む温もり。
「唯香っ……」
強く抱きしめ、名前を呼ぶ。
その途端、じわりと熱い涙がこみ上げてきてしまう。
「今だけ……
今だけでいいから……」
「……」
きっとこれが
最後の温もりだと
お互いに分かっていた……。