この恋を叶えてはいけない
「だ、大丈夫?」
「ああ」
心をよくしたお母さんは、あろうことかさらにワインを開けていたしまった。
普段滅多にお酒を飲まないお母さんは、あっという間に酔いつぶれてしまい、タクシーから降りると駿が背負う。
いつもの古びたアパート。
錆び付いた階段を登りきると、3番目に見えるあたしとお母さんの家。
今までこの家に不満なんていだいたことないのに、駿を家にあげることで、初めて少し恥ずかしいと思った。
「あ、布団引くから待ってて」
リビングとふすま一枚で挟んだ和室。
ベッドなんて当然なく、いつも布団を2枚敷いて寝る。
たたんであった布団を広げて、そこへお母さんをおろした。
「ありがとね。わざわざ送ってもらっちゃって」
「いや。自分の母親だし」
「……うん、そうだよね」
そう言ってくれる駿が嬉しかった。
たとえ15年以上会っていなくても、親子は親子はなのだ。
「じゃあ、俺は帰るわ」
「あ、うん」
駿を見送るために、もう一度玄関へ向かった。