この恋を叶えてはいけない

その言葉を聞いて、娘として悲しくなった。

浮かない顔をしているあたしを見て、駿は言葉を続ける。



「唯香に会う前までは

 恨んだことなんかなかったよ」


「…っ」



駿の言う言葉の意味が
あまりにも悲しくて、何も言葉が返せなかった。


もしもあたしたちが、離れ離れになることなく、一緒に育ってきたのなら、
今抱える悲しい想いは、この胸のなかになかったはずだから……。



「ほんと……
 親って勝手だよな」



まぶたの裏には、涙が溜まっていて、駿の顔がにじんでる。

目をそらすことなく、ただじっと駿を見上げていた。



「だからそんな目で見るなよ」

「……」


駿は複雑そうに笑って、あたしの頬に伝う涙を拭った。



抱きしめてほしい

もっと触れてほしい


だけどその願いは叶えてはいけない


あたしの中の道徳心が、必死に感情を抑えてる。

きっとそれは、駿も同じで……



「じゃあ、な」

「うん。…ばいばい」


あたしと駿は、それ以上触れることなく別れた。
 
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