*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「おかえり」


オレも兄貴にそう返した。



兄貴は東京の大学に通っていて、単身赴任中のオヤジと一緒に生活している。

大学の夏休みを利用して帰省してきたんだろう。




ユウと兄貴は楽しそうに話している。

どちらが振ったのかは知らないが、別れた当初、ユウはすごく気まずそうにしていて、しばらくはうちにも寄り付かなかった。

だけどいつの間にかまた元通りの仲の良い幼馴染の関係に戻っていた。


オレはキッチンへ向かうと、冷蔵庫からコーラを取り出した。

そしてそのままカウンター越しにリビングにいる二人の様子をぼんやりと眺めていた。
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