俺様副社長に捕まりました。
ここは私が何か言ったほうがいいのでは・・・・そう思い口を開きかけた時だった。
黙って聞いていた安藤専務が話し始めた。
「拓海くん」
「はい!」
久しぶりに名前を呼ばれ拓海さんは背筋を伸ばした。
すると安藤専務は深々と頭を下げた。
「申し訳なかった。孫たちの写真を節目節目に送ってくれていたのに今まで何も
お礼を言えなかった」
拓海さんは少し戸惑いながらも安藤専務に頭を上げてくださいと距離を縮めた。
「娘に勘当を言い渡した手前、孫たちに会いたくても会いに行きづらくてな、でも
君が送ってくれた写真を通して孫たちの成長が見れたこと凄く感謝していたんだ。
でも・・・今日初めて孫を目の前にして自分のしてきたことが間違いだったと
気づいたよ。拓海君・・・・君と娘のことを反対していたこと本当に申し訳なかった。」
安藤専務は再び頭を下げた。
「お義父さん頭を上げてください。僕は今の言葉で十分です。それよりも・・・・・・」
拓海さんが里沙さんを見つめた。
里沙さんはまだ素直になれずなのか不機嫌な表情で拓海さんを見ていたが
拓海さんが首を横にふるので里沙さんは仕方ないといった顔で拓海さんの横に
並ぶように立った。
「里沙・・・・」
安藤専務が里沙さんの名前を呼ぶと聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で返事がかえってきた。
「すっかり母親の顔になって・・・・子供3人の子育てはさぞかし大変だったんだろうな」
その言葉を聞いた途端今までの思いが押し寄せき来るかのように
里沙さんの肩が小刻みに震えだした。すると拓海さんがさっと里沙さんの肩を抱き寄せた。
そして・・・・
「大変だけど・・・それを・・・辛いと感じた事は・・・ない。だって・・・・私はこの家族が
大好きだもん」
安藤専務は里沙さんの言葉を頷きながら聞いていた。
「でも・・・おじいちゃんとおばあちゃんがいたらもっといい家族になれると僕は思うけどね」
拓海さんの言葉に少しだけ里沙さんの心が溶けていくのが
離れた場所から見ていた私にもわかった。
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