俺様副社長に捕まりました。
「今日のお前・・・なんかいつもと違うけど・・・大丈夫?」
帰り道で急に水沢さんが立ち止まった。
「そうかな・・・普通だけど・・・全然大丈夫」
ちょっと大げさにガッツポーズを見せるが実際は
頭の中普通じゃないんだよね。
水沢さんは2人いてすごく似てるとか・・・同一人物かもしれないとか
目の前の水沢さんにすごく惹かれているとかいろいろ
でもそれを口に出すつもりはない・・だけどやっぱり顔に出ているんだ・・・・
「・・・嘘だね・・・顔に出てる」
「出てない。それにこんな暗がりで私の表情が分かるの?」
「わかるね・・・・俺なら」
水沢さんはポケットに手を突っ込みながら顔だけをぐっと近ずけながら自信たっぷりに言った。
自分の気持ちを悟られたくなくて私は彼の言葉を無視して歩き出した。
だめだめ・・・ここで好きだなんて間違っても言っちゃダメ。
もし言ったら多分もうこうやって会えないのわかってるもん。
絶対に絶対に・・・
その時だった。前から自転車がものすごい勢いでしかもライトも付けずに走ってきた。
私や水沢さんがいることに気づいていないようでまっすぐこちらに向かってきた。
あぶない・・・ぶつかる!そう思ったときだった。
私の手をぐいっと掴むと電信柱の影に私を庇うよう押し付けた。
通りすぎる自転車に水沢さんが声を荒らげながらライトつけろ!と叫んだ。
私はというとそれどころじゃなかった。
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