俺様副社長に捕まりました。
どのくらいたっただろう、ガチャっと玄関の扉の開く音が聞こえ私の心拍数が一気に上がる。
深呼吸をして呼吸を整える。
心臓は飛び出すんじゃないかと思うくらいバクバクしていた。

きっと私の靴がまだあったからなんだろうけどものすごい勢いでリビングの戸が開いた。

「桃?」

・・・・やっぱり
目の前で固まっている彼は私のよく知っている人だった。
洗いざらしのボサボサ頭で黒縁メガネ。
霜降りのパーカーにジーンズ姿・・・先日私にキスをした水沢さんだった。
なんでここいるんだと
驚きを隠せない水沢さんの手に持っているのは私のよく知っているレンタル屋の袋
そしてコンビニ袋を持ってその場に立ち尽くしていた。
「・・・・・やっぱり同一人物だったんだ」
一気に力が抜ける
「・・・・」
水沢さんは何か言葉に出そうとするけど全てが言い訳になる事が嫌なのか
何度か口をパクパクさせたがそれを飲み込む様にうなだれた
「否定しないんですね・・・・で?無口で私に無理難題を押し付ける副社長さん、
ボサボサ頭でDVDを見るのが好きな黒縁メガネさん・・・・本当の水沢さんはどっちなんですか?」
本当は感情が高ぶって怒りに任せて罵声を浴びせるんじゃないかって思った。
だってこんなこと普通じゃありえないじゃない。
だけど実際副社長じゃない水沢さんを目の前にした時
バラバラだったパズルが次々と繋がった様な気持ちになった。
でもこんなに手の込んだ事をしてまで
水沢さんは私をどうしたかったの?
私にはもうさっぱりわからない。
だから知りたかった。
水沢尊の全てを
「教えてくれるまで私・・帰りませんから」

水沢さんは髪の毛を荒々しくかきあげると手に持ってたレンタル屋の袋とコンビニの袋を
テーブルの上に置くと観念したかのようにソファーを指差し座っていいかと聞いてきた。
私が頷くと桃も座れと促した。

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