最後の恋にしたいから
勢い任せに出てきたはいいけれど、いつの間にか雨が降り出していた。

まだ梅雨は明けていないのだから、雨が降る確率は高いけれど、今朝の天気予報では『梅雨の中休み』と言っていたのに。

「不幸って重なるものなのね」

ため息をつきながら、雨の中を歩いていく。

他の人たちにも、不意打ちの天気だったようで、傘を持っていない人が圧倒的に多い。

諦めて濡れている人や、走って急ぐ人など様々だ。

そして私はというと、寿人と別れた実感がいまいち掴めず、ボーッとしながら歩いていた。

住んでいるマンションまでは、電車に乗らなければならない。

その駅までを歩こうと思っているけれど、気が重すぎて足がなかなか前へ進まなかった。

「今ごろ、二人どうしてるのかな……」

邪魔ものがいなくなって、二人きりの時間を満喫してるのかも。

もしかしたらあのまま、ご飯を食べることにしたかもしれない。

そんな二人の姿を想像していたら、涙がとめどなく溢れてきた。
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