最後の恋にしたいから
土砂降りに近いこの雨は、今の私にはちょうどいい。

だって、涙を隠してくれるから。

よそよそしさは感じていたけれど、こんなにアッサリとフラれるとは思ってもみなかった。

『好きじゃなかった』

その言葉で片付けられた二年は、一体なんだったんだろう。

全身ずぶ濡れになりながらフラフラと歩いていると、公園が見えてきた。

街灯の灯りで見える限り、園内には人っ子一人いない。

無意識のうちに足が向かって行き、雨の中、ベンチに座り込む。

これからどうしよう。

こんな格好じゃ、タクシーにも乗れないし。

それにもう、どんなに心細くても、助けてくれる人はいない……。

「私は本気で好きだったのに。寿人、ヒドイよ……」

俯いて涙を流していると、体を打ち付ける雨が止んだ。

「古川、どうしたんだよ。ずぶ濡れじゃないか」

傘を差し出し心配そうに見下ろしているのは、なんと名越課長だったのだ。
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