最後の恋にしたいから
テキパキとお湯を沸かし、急須に茶葉を入れる。

その手つきに感心してしまい、つい見入っていた。

それにしても、課長の指ってなんて長いんだろう。

引き締まった少し色黒の指が、どこか色気を感じさせてドキドキする。

思えば、恋愛経験がそんなに多い方ではない私には、こういった男の人の特徴ってけっこう刺激がある。

この二年間は、寿人の細い指に見慣れていたから、余計にそう思うのかな……。

「何か、あったんだろう? 目が真っ赤だったから。今は、だいぶ落ち着いたな」

お茶を入れてくれた課長は、私に穏やかな笑みを向けた。

そして、湯呑をリビングのテーブルに置いてくれる。

それに合わせて、私もそこへ座った。

「分かっちゃいましたか?」

かろうじて笑顔を浮かべるも、寿人の姿が蘇ってきて泣きそうになる。

課長のお陰で少しは気が紛れたけど、思い出すと辛い。

「いただきます」

課長が入れてくれたお茶は、ことのほか美味しくて本当に心も体も温まる。

「話したくないなら、無理に話さなくていいから。ただ、そんな古川を、あの場に置いて帰るわけなにはいかなかった」
< 22 / 112 >

この作品をシェア

pagetop