最後の恋にしたいから
「そうですよね。すいません……」

うっかり調子に乗ってしまい反省だ。

小さくなった私に、課長は慌てて弁解した。

「冗談だって。ごめん。だいたい、オレの勝手でここへ来たんだから。古川が気を遣う必要はないだろ?」

優しいフォローに、私はますます小さくなる。

「ありがとうございます。私、どこか自信が無いんです。素を出せないっていうか。そのせいで、結局元カレにもフラれたんですけど……」

寿人には気付かれてた。

私が自分を出していないことに。

そんな中での二年間を、彼が『疲れた』と表現するのも間違っていない。

「確かに、古川は気を遣い過ぎるもんな。そんなに相手の顔色を伺う必要はないんだぞ?」

課長は「うん、うん」と頷きながら言っている。

「だけど、それじゃ相手に嫌われませんか?」
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