最後の恋にしたいから
そうでなければ、今だって寿人のことを考えて、重い足取りで帰っていたかもしれない。

「だけど、簡単に忘れられるほど、軽い気持ちじゃなかったんですよ? ただ、あまりに呆気なく終わらせられたんで、気が抜けた部分もあって……」

寿人とは、いつか結婚出来ることも期待していたのだから。

決して、簡単に忘れられる恋ではなかった。

だけど、未練を引きずれないほど、寿人は私を拒絶したのだ。

「分かってるよ。だけど、少しでも前に進めそうなら、それでいいもんな。そうだ、古川の連絡先教えてくれないか?」

「私の連絡先ですか?……はい、わかりました」

やっぱり聞いてきた。

ドキドキしながら番号を伝えると、課長は笑顔を浮かべて言ったのだった。

「とりあえず、一度会社に戻らないといけないから行くな。帰ったら連絡する」
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