最後の恋にしたいから
「そんなもんだよ。それにしても、奈々子って、意外とハッキリものを言うじゃん?」

「えっ? そ、そうですか?」

出来るだけ気をつけていたつもりだったけど、端々に出ていたらしい。

「す、すいません……。不快な思いをさせていたら、本当に申し訳ないんですが」

反応がいちいち気になるから、寿人の前でも本音を言えなかったのに。

「なんで謝るんだよ。知らなかった奈々子が見れて、オレとしては嬉しいんだけどな」

楽しそうな口調で、課長はそう言った。

その雰囲気に、ますます自分の中で疑問が膨らみ、聞かずにはいられなかった。

「あの、課長は、どうしてここまでして、私と疑似恋愛をしてくれるんですか?」

一体、どんなメリットがあるっていうんだろう。

すると、彼は一呼吸、間を置いて答えたのだった。

「それは、どうしても放っておけなかったからだよ。雨の夜にずぶ濡れの奈々子を見て、どうしても救いたかった」
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